活動報告

台風の爪痕~水田の視察

10月初旬のこと、米作り農家の方から、収穫が終わった田んぼを見てほしいとの連絡があり、福岡江川の谷田橋周辺を歩きました。
爽やかな日差しの中で、早生の米を収穫した田んぼの切り株には、早くも緑の新芽が顔を出し、秋風に揺れている光景を目にしました。

そんな中、ふと、周囲の田んぼを見回すと“土床”が大きくえぐられ、田と田の間を仕切る“くろ”が土砂で埋め尽くされている箇所がありました。

農家の方にお聞きしたところ、8月の台風豪雨の時に、道路路肩の“ノリ”部分から流れ込んだ大量の土砂が、田んぼの土を押し流してしまったようでした。

水田は、米を作るという生産機能が本来の役割ですが、一方で豪雨時の水ダメとしての防災機能や地球温暖化を軽減する環境機能を持っていると言われています。また、緑豊かな景観は人々の心を和ませ、子どもたちの課外学習活動等においても有効性を発揮しています。

しかし、このような多面的機能の有効性があったとしても、米の生産という本来的な機能に支障が出るようでは、元も子もありません。
この周辺の田んぼ全域は、農業振興地域に指定され農業の生産性向上を目指す地域となっています。また同時に、いざ、河川の氾濫という時には『水ダメ』となる湛水地域に指定されています。

生産性の向上や競争力をつけることは、当然のことですが、同様に農地を災害から守る防災基盤整備が不可欠です。

さもなければ、後継者不足を一層加速させ、水田農業を取り巻く環境は、ますます厳しい状況になるものと考えております。