活動報告

『犯罪被害者支援』プレシンポジウム(2)

『あなたの街の犯罪被害者支援』プレシンポジウムの後半では、「地方自治体による犯罪被害者支援を考える」をテーマとして、被害者学の専門家や犯罪被害者、交通事故被害者遺族、被害者相談にあたる専門の弁護士を交えてのパネルディスカッションが行われました。

まず、交通事故被害者遺族のBさんから、驚くようなお話を伺うことができました。実はBさんですが、埼玉県内15の自治体を選んで、各自治体の被害者支援窓口の存在や、その相談体制の在り方について、自ら電話をかけ、ヒアリング調査したとのことで、本当に頭の下がる思いでありました。

そのお話の中で、役所に電話をしてから被害者支援の担当に辿り着くまでに、概ね5分程度の時間がかかること(一番早いところで、2分程度とのこと)で、私は、ある意味、たらい回しにされているような印象を受けました。

また、担当者から、いきなり罪種を尋ねられるケースもあったことなど、犯罪被害者への配慮にかけるような対応だと思いました。もし仮に、性被害者だとしたら、2次被害にもなりかねないことになります。お話をお聴きし、改めて、犯罪被害者に対しての行政の体制づくりがされていないことを痛感いたしました。

さらに、埼玉弁護士会プレシンポジウム実行委員会が行った県内市町村アンケートの結果について、コーディネーターの方から報告がされた時、それを裏付ける状況を確認することができました。

埼玉県内63市町村のうち59自治体からの回答があった中で、『犯罪被害者支援条例を制定しない理由として、39%にあたる自治体が、その必要性を感じていないため』とされていました。

また、犯罪被害者支援の窓口は、62%の自治体で設置(※埼玉県HPでは63市町村すべての自治体で設置)されているものの、窓口の名称として「犯罪被害者相談」「犯罪被害者等支援窓口」と直接的に表示されている自治体は、3市町村にとどまりました。

その他の項目としても、支援窓口での相談員の数、臨床心理士・社会福祉士などの専門職の配置や職員研修のあり方など、様々な課題があることがわかりました。

現在、埼玉県内で犯罪被害者等支援条例を制定している自治体は、蕨市、三芳町、嵐山町、戸田市の4自治体のみで、アンケート結果からも市町村によって犯罪被害者支援に対しての温度差があるように感じられました。

帰路、車中で明石市長・泉房穂氏の基調講演での「犯罪の多い少ないではない。一人の被害者でも救うのが自治体の使命であり、いつでも、誰もが被害者になりうることを忘れてはならない」と訴えられたことが、脳裏から離れませんでした。

自治体の犯罪被害者支援の在り方を考えていく上で、また、今後の私自身の活動においても、大変勉強になるプレシンポジウムでした。