活動報告

『犯罪被害者支援』プレシンポジウム(1)

去る9月27日、さいたま市の埼玉会館で開催された『あなたの街の犯罪被害者支援』をテーマとしたプレシンポジウムに出席しました。

埼玉弁護士会が主催された、このプレシンポジウムは、まず前半部分で強盗致傷事件被害者からの基調報告、続いて犯罪被害者支援に自治体として積極的な取組みを行っている兵庫県明石市長・泉房穂氏からの基調講演となりました。

犯罪被害者のAさんの基調報告では、強盗致傷事件によって身体的・精神的な苦痛を受けただけではなく、事業者として仕事ができなかったことによる経済的な損害について、さらには被害者への行政対応の様々な問題点を伺うことができました。

加害者に重傷を負わされ、瀕死の状態となった仕事場の椅子で、復帰後、引き続き仕事を続けなければならない、Aさんの日々の恐怖と苦悩・・・

また、事件によって税金を払えなかったにも拘わらず、行政から「競売にかけること」や「税金を払わないのは犯罪者と同じ」などと迫られたことなど・・・

 犯罪被害者に対して全く配慮に欠けた対応であり、まさに、被害者が経験する2次被害ではないかと思いました。もし、警察や自治体との連携、自治体での支援制度や情報共有の在り方が、しっかりと整備されていれば、このような行政対応は起きなかったと考えております。

さて、続いての明石市長・泉房穂氏の基調講演では、ご自身が弁護士として活動されていた時のことや、衆議院議員時代に犯罪被害者等基本法制定に携わっていたこと、そして、現在の明石市の取組などのお話を伺うことができました。

その中で、ある事件で被疑者側の弁護士として、被害者宅のお通夜に弔問した時、加害者には弁護士がついているのに、被害者側には誰もいないという不合理さを伺いました。また、泉氏は、「被害者自らが、声を上げること自体が申し訳ないことで、近くで困っている人を、困っているときに助けるのが行政の役割だ」と強く訴えられました。

犯罪被害者支援条例の制定が、すべてではありませんが、現実として自治体で条例が制定されると、担当部署ができ、担当者が配置され、予算がつけられることも触れられていました。その意味からすると、条例制定は、むしろ被害者支援の入口と言えるかも知れません。

今後、各自治体での条例制定をきっかけとして、どう被害者に寄り添い、社会全体として支援しいくか、その機運の高まりが重要だと思いました。

改めて、市民一人一人の理解の大切さと、自らは何をすべきか、再認識させられました。