8月8日、視察研修2日目は、糸魚川市役所を訪問し、糸魚川市駅北大火について消防本部の担当者よりお話を伺いました。
昨年12月22日の10時20分頃、大型こんろの消し忘れによって一軒の建物から発生した火災は、翌23日の16時30分鎮火までの間に、焼損棟数147棟(全焼147棟、半焼5棟、部分焼22棟)、焼損面積約40,000㎡の大規模火災となってしまいました。
火災当日は、日本海側特有のフェーン現象で空気が乾燥し、山側から吹き降ろす強風は最大瞬間風速27.2mを記録しました。この気象状況が影響して出火から1時間後に最初の飛び火による火災が発生し、以後複数の建物からの火災発生によって延焼エリアを拡大させてしまいました。
糸魚川市では、明治44年、昭和3年、昭和7年に大火が発生し、その教訓から道路の拡幅が行われ、今回の焼損エリアも準防火地域に指定されていました。
しかし、この周辺地域には、古い木造建物を中心に歴史的な街並みが形成されていたため、まだ、防火構造でない建物が多かったのではないか、と感じました。
また、現場周辺を歩いて感じたことは、確かに広い幹線道路は配置されていましたが、そのエリア内の道路幅員や公園等のオープンスペースは、決して広いイメージではありませんでした。
同時多発的に発生する火災では、消防力には限界があるため、やはり、都市計画の視点から災害に強いまちづくりへのアプローチが不可欠だと思いました。
さて、ふじみ野市では、昭和30年代後半からの高度成長期において、急速な宅地化の進行によって計画的な都市基盤整備がされないまま、木造住宅の密集市街地が形成された地域もあります。
現在、自治組織を中心に防災に対しての意識の高まりの中、防災訓練をはじめ、様々な活動が行われていますが、木造密集住宅区域で、かつ高齢化率の高い地域では、早急なハード面の整備が求められます。
例えば、個々の住宅を防火構造に推進していく施策や、空き家、空き地等を利用した防火水槽用地やオープンスペースの確保、緊急車両の通行を容易にする待避スペースを設けることなどが挙げられるかと思います。
以前、都市防災の先生から大地震が発生した時、住宅密集地域で恐ろしいことは、『火の津波』であるとお聞きしたことがありました。しかし、このたびの視察研修で糸魚川市駅北大火の現地を目の当たりにし、それは地震時に限らず、日常、何処にでも潜んでいる危険性であることを実感しました。
お忙しい中、研修にお時間をつくっていただきました糸魚川市、糸魚川市消防本部に対しまして御礼を申し上げますとともに、一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。