毎日のように飛び込んでくる事件や事故のニュース。
そのたびに、被害者と加害者が発生し、そして双方の家族も巻き込まれることに・・・
これまで、犯罪被害者遺族の方々のお話をお聴きすると、異口同音に「事件や事故は、ある日突然やってきて、これまでの平穏な生活が一瞬にして奪われた・・・」と。そして、これは決して対岸の火事ではなく、誰にでも起こりうることだと考えております。
それゆえ『被害者も加害者も出さない社会』をどのようにつくって行くか、また、被害者への支援の輪をどのように拡げ、強化していくか、今後の大きなテーマだと思っています。
さて、そんな思いを胸に、昨日は、さいたま市緑区のプラザイーストで開催された犯罪被害者支援ミニセミナーに参加させていただきました。
埼玉県警察犯罪被害者支援室からの『警察の被害者支援について』のお話のあと、犯罪被害者遺族の盛山哲志氏からの『事故から考える交通安全対策』の講演、続いて『援助センターの支援』、そして最後に『二次被害のシミュレーション』が行われました。
講演をされた盛山氏は、平成18年9月25日に川口市内で4人の保育園児が交通事故に巻き込まれ死亡し、17人の園児・保育士が重軽傷を負ったという、その亡くなられた園児のお父様でありました。
運転中のウォークマン操作という加害者の不注意が事故原因とのことですが、取り返しのつかない重大事故になってしまいました。その時、重傷を負った園児さんは、今なお、障がいが残っているとのことでした。
大切なお子様を亡くされた後、悲しみを背負いながらもご遺族の方々を中心に署名活動を展開し、3か月間で18万人の署名を集め、後の自動車運転過失致死罪の立法化や生活用道路の速度を30㌔以下に制限するゾーン30のきっかけになったこと・・・
これらの取組には、本当に頭の下がる思いでありました。
また、盛山氏のお話の中で、「なぜ、歩道のない道路を園児の散歩コースとして選んだのか」という疑問、そこから見えてきた問題として、「安全に通れるはずの歩道には、のぼり旗等があって見通しが悪く、支障をきたしていたこと」など、事故の直接的な原因ではありませんが、鋭い視点であると感じました。
お話をお聴きし、改めて、地域の目の重要性や自治体と一体となった交通安全の取組が不可欠だと思いました。
セミナー最後に、『犯罪被害者遺族の二次被害のシミュレーション』として、ロールプレイを実践されまして、周囲の方の軽率な言動や行動が、さらに被害者遺族を苦しめてしまうことをご教示していただきました。
犯罪被害者等基本法では、国の責務、地方公共団体の責務、国民の責務が明確に規定され、犯罪被害者援助団体等との相互連携、協力を義務付けられています。
しかし、自治体の条例制定を含め、被害者遺族等の経済的支援のあり方や心のケアの問題など、まだまだ、不十分な状況におかれています。
『犯罪をなくす社会づくり』と並行して、犯罪被害者等の支援の輪を拡げ、その機運を高めていくことの重要性を再認識することができました。