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組体操の事故防止について~一般質問より

去る12月10日に行われた議会一般質問の中で、いわゆるピラミッド、タワーと呼ばれる組体操について、次の二点について質問を致しました。

一点目として
現在、市内小中学校で行われている組体操については、何を判断基準として実施されているのか?

二点目として
過去5年間の市内小中学校での組体操による共済金給付事由に至った件数について?

まず、一点目については、「望ましい人間関係の形成や協力してより良い学校生活を築こうとする態度の育成、さらには役割を責任もって果たそうとする態度の育成をねらいとして、実施している。」との答弁でした。
また、実施にあたり、「小学校は担当学年の教員、中学校では体育担当教員が中心となり、技の企画・立案を行い、安全対策を充分に行った上で、管理職の判断の下、実施を決めている。」とのことでした。

二点目については、「小学校で25件、中学校で5件」が確認されているとのことでした。なお、具体的な怪我の状況としては、「ピラミッドでは、手の骨折が2件、手や足の打撲・捻挫・挫傷が8件、頸椎の捻挫が1件、背中の打撲が2件」、また、「タワーでは、手や足の骨折が2件、手や足、腰頸椎の打撲・捻挫・挫傷が15件」との答弁がありました。

正直なところ、この数字の答弁をいただき、余りにも怪我の件数が多いことに驚きました。

これまで学校体育は、児童生徒が楽しいスポーツに触れ合う機会を作り、あわせて体力向上と健康増進に寄与するものとして、大変重要な役割を果たしてきました。

しかし、一方で成長期にあたる児童生徒にとっては、身体的強靭さや身体能力は千差万別であるため、種目によっては常に怪我等の発生を想定し、事故防止策を講じていかなければなりません。

先日、私は建設作業に従事する方に、「どのくらいの高さで落下すると怪我をしますかね?」と落下の危険性をお聞きしたところ、「不意に落ちれば、1メートルにも満たない脚立の高さでも大怪我をする。」と即答されました。

また、「高さが2メートル以上の高所作業を行う場合には、労働安全衛生規則で墜落等の危険防止の規定が設けられ、囲い、手すり、防網、安全帯などが義務付けされている。」と伺いました。

現実的に、囲いや手すりを使っての組体操の練習は困難であり、新たな危険性も生じるかもしれません。しかし、今、全国各地で組体操による事故が報告されている状況においては、早急な安全対策が求められます。

答弁の中で、練習段階から支援する教員を増員して指導していることや、注意喚起の通知を各学校に行い、今年度は大きな怪我の発生はなかったとありました。また、今年度中には、各学校の実情や考え方を聴き、統一した安全基準について協議していく方向性を示されました。

現場の先生方の児童生徒の安全に対する思いは、並々ならぬものがあると思います。しかし、取り返しのつかない事故が起きないようにするためには、常に実施にあたり適正な判断が求められます。

それは、時として苦渋の選択となることもあるかと考えております。